夏への招待


タケシ、手紙をどうもありがとう。僕らは元気に暮らしています。
こっちには「梅雨」という季節はないけれど、毎日のように夕方になる
とスコールが降ります。

それこそ、バケツをひっくり返したような雨が降って、アスファルト
から湯気が立ちのぼるよ。

村の人たちは、みんなこの雨を待っていて、傘もささずに、何だかよく
分からない神様に感謝しながら、外を歩くんだ。おかしいよね。
だから、タケシが「梅雨」という季節に大雨が降ってわくわくする
気持ちは、よく分かるような気がします。

もうすぐ夏休みだって言ってたけど、今度こっちに遊びにおいでよ。
僕らはスコールの中で野球をするんだ。
土砂降りの雨の中で決めるスライディングは最高だよ。

追伸:エマはとてもきれいになったよ。兄貴の僕の目で見ても。
タケシから手紙が来たって教えたら、「これを見たら、タケシ絶対来る
わよ。」って写真を渡すんだ。だから同封するよ。
絶対来いよな。エマも待っているみたいだ。