決壊


彼女の涙は雪解け水のように冷たかったが、
その波が激しく押し寄せるたびに、僕の心は暖まった。
それは春先に一雨ごとに運ばれてくる暖かさのように、
僕に安堵感をもたらすのだった。

暗闇で探り合っていた僕らの空間に今、
確かに、灯が点いた。